平成29年3月定例会
2018年7月12日(木)
(中村綾菜)
市民クラブの中村綾菜です。通告に従いまして2点質問させていただきます。
まず,文化振興と文化会館の建てかえについて質問いたします。
まず,皆様にお聞きしたいことがあります。福井の文化と聞いて,どのようなことを思い浮かべるでしょうか。また,福井の芸術文化と聞いて,どのようなことを思い浮かべるでしょうか。
さて,どのようなものを連想されたでしょうか。白川静博士の漢字を思い浮かべた方はいらっしゃいますでしょうか。俵万智さんの短歌を思い浮かべた方はいらっしゃいますでしょうか。また,福井市ゆかりの橘曙覧の独楽吟を思い浮かべた方はいらっしゃいますでしょうか。あるいは,少し年配の方は,宇野重吉さんの映画を思い浮かべたでしょうか。
文化とは,ウィキペディアによれば,人間が社会の成員として獲得する振る舞いの複合された総体のことで,特にハイカルチャーのように洗練されたものの意味で使われることが多いようです。また,文化庁によると,音楽,芸術,演劇,舞踊,映画,アニメーション,漫画等の芸術文化は人々に感動や生きる喜びをもたらして人生を豊かにすると同時に,社会全体を活性化させる大きな力となるものであると書かれておりました。福井は,数千年の昔から多くの自然災害に見舞われてきており,粘り強い復興への努力を重ねてきました。特に,1900年代は戦災,震災,洪水,豪雪と,幾多の自然災害に見舞われつつも,フェニックスの精神で復興してきました。この歴史的な堆積が,真面目で,そして忍耐力がある,そういった精神性を生み出してきたものだと思われます。また,古くから浄土真宗の信仰が強く,ゆかりのある仏僧も多くいるなど仏教との縁が深い場所です。そのために,町中に寺院が多くあるだけでなく,伝統芸能や工芸,食文化などにも仏教の影響が見られます。一方で,日本総合研究所が発表した,全47都道府県幸福度ランキング2016年度版によりますと,福井県の幸福度が全国1位である中で,文化の分野は42位と異常なくらい低く位置づけられています。ちなみに,教育分野も仕事分野も1位,生活分野も健康分野も上位でありますから,福井の文化の低さが際立ちます。不思議な感じがいたします。
本市が調査した文化に関する市民向けアンケートによりますと,こちらはまだ中間報告ですが,福井市では文化活動について満足な機会が提供されているかという問いに対して,はいと答えた方が58%,いいえと答えた方が42%,公演鑑賞については満足な機会が提供されているかという質問に対して,はいと答えた方が51%,いいえと答えた方が49%でした。まだまだ改善の余地があると考えます。今,私たち福井の文化を取り巻く環境は,福井国体開催,東京オリンピック開催,北陸新幹線開通,グローバル化など,多くの人が福井に来て交流する機会がふえることから,人々の新しい文化的結びつきが生まれることが考えられます。また,社会に生きる人たち全てがかけがえのない存在として大切にされ,自分の個性や才能を生かしながら社会に参加,貢献できるまちの実現のために,あらゆる方々,特に障害者や子供たちによる自由な文化芸術活動を推進する必要もあります。若手芸術家に関しては,なかなか生活しながらの芸術活動ができないと聞いております。しっかりと励むことができる支援が必要であると考えます。一方で,人口減少,少子・高齢化などが要因で,これまでと同じような施策を続けていては財政がもたないというのが現状です。ですから,今後福井市は積極的に文化振興を進めつつも,それを効率的に行っていく手法を取り入れていかなければなりません。
さて,本市の文化会館についてですが,昭和43年に開館し,福井の文化振興に大きく貢献してきました。しかし,開館から48年が経過したことから,老朽化が進み,耐震性能の不足などから建てかえが決定したところです。この文化会館の建てかえを福井市の文化振興を加速させるチャンスと捉え,そしてまちの活性化と市民の生活がより豊かになることを願い,以下質問いたします。
市長には,まず福井の文化を継承,創造,発信する視点において,どのような方針をお持ちかお聞きいたします。
全ての市民が潤いと誇りを感じることができる,心豊かな生活を実現する視点において,どのような方針をお持ちかお聞きします。
今後,芸術文化の交流を通して,福井の文化振興を進めると思いますが,どのような方針をお持ちかお聞きします。
あらゆる人に,特に子供たちや障害者の方々,あるいは外国人が芸術文化をストレスなく享受できる仕組みを推進するために,どのような方針をお持ちかお聞きいたします。
若手芸術家を育成し,ビジネスチャンスに結びつけるために,どのような指針を考えておられるのかお聞きいたします。
次に,福井市の懸案となっている文化会館の建てかえについて少し深めていきたいと思います。
まず,概要と今後のスケジュールについてお聞きします。
福井市周辺には,デラックスクラスと言われる2,500人から3,000人収容できる規模の施設がありません。フェニックス・プラザの大ホールは2,000席,アオッサの県民ホールは535席,これがサンドームになると最大1万席になってしまいます。箱物をつくるのであれば,これらの施設と差別化できるものであるべきですが,所見を伺います。
建設場所については,現在地での建てかえ案,駅周辺での再開発案,市営球場跡地案,あるいは駐車場の豊富な郊外案など,さまざまな案が取り沙汰されています。それぞれ一長一短あることはもちろんですが,交通手段,駐車場の問題,県外からの誘客,キャパシティーの問題を解決するためには,移転も考えて議論を進めるべきと考えますが,見解をお伺いします。
仮に,現在位置の建てかえになるのであれば,福井駅から離れており,公共交通機関が不便であるため対策をとるべきであると考えます。そして,福井駅との一体的計画を進めるべきと考えますが,現時点での考え方をお聞きします。
建設に当たっては,費用の最小化を考えなければなりません。PFI,すなわち従来のように公共が直接施設を整備せずに,民間資金を利用して民間に施設整備と公共サービスの提供を委ねる手法を選択すべきです。官民間のリスク分担,協働する官民の癒着回避など課題も指摘されているところではありますが,PFI事業に対する市の姿勢と,PFIをどのように進めるのか,可能性調査の方法も含めてお聞きします。
最後に,昨年10月にほぼ1カ月間にわたって行われたフクイ夢アートは感動的なイベントでした。私も出かけてみましたが,若い世代の人たちが思い思いの作品を掲示している様子を見て誇らしく感じました。福井市は高齢化率が高く,若者からは年配者層に抑圧されていると嘆く声も多いのですが,内に秘めた創造力やパッションはほかの都道府県に絶対負けないと確信しました。こういった若い芸術家も福井の文化振興や文化会館の建てかえなどにどんどんかかわっていただきたいと考えますが,所見を伺います。
続きまして,防災について質問いたします。
昨年4月14日,熊本県と大分県にて大地震が発生しました。最も大きい震度7を観測する地震が4月14日の21時及びその28時間後の4月16日の午前1時に発生し,その後も最大震度6強の地震が2回,6弱の地震が3回発生しました。本市の姉妹都市熊本市も被災したとのことで大変心配いたしました。そして,同じような内陸の地震は福井でも起こり得ますし,福井ではいつ起こってもおかしくないと危機感を感じました。なぜかといいますと,福井の大地震は1948年に発生し,その後69年間たっております。1948年以前の地震はと言いますと,その約60年前の1891年に発生しており,69年たっているのであれば,もうそろそろ大地震が発生するんではないかと言われているからです。
そこで,改めて防災行政の見直し,市民の防災意識の醸成が必要であると考え,昨年11月8日に私たち市民クラブは平成28年熊本地震の状況と対応策について学ぶため,熊本に行ってまいりました。阪神・淡路大震災,新潟県中越地震,東日本大震災と,大きな地震が発生するたびに防災対策をしっかりとしなければならない,危機管理をしっかりとしなければならないと思わされ,本市においてもさまざまな対策をとってきているとは存じますが,熊本地震が発生した今,防災についていま一度見直すチャンスをいただいたのではないかと考え,質問いたします。
1点目に,行政対応についての質問です。
まず,初動態勢について。4月14日の余震時の職員の招集率は3割から4割程度であったそうです。このことについて本市はなぜそうなったのかを調査し,対応策は考えておりますでしょうか,お聞きします。
また,3割しか来られないことを想定しての訓練を考えてはいかがでしょうか,お聞きします。
次に,避難所運営について。指定避難所においては職員配置のおくれや職員の避難所運営のふなれ等から円滑な運営ができなかったそうです。それは訓練をしていなかったそうですが,本市においては避難所開設の訓練を行っていると聞いております。避難所運営についてはどのように訓練をされているのでしょうか。地域の避難所運営マニュアルに基づいて地域の住民を巻き込んでの訓練はされているのでしょうか,お聞きします。
次に,災害弱者への対応について。福祉避難所160カ所中,稼働したのは五、六十カ所であったそうです。なぜかといいますと,指定避難所へ行って,医師や看護師等に診断していただき,必要と判断されれば福祉避難所へ避難できるという仕組みがうまく機能しなかったことと,各担当部署の連携もうまくいかなかったことが原因だそうです。本市においてもこの経験を生かしていただきたいと思いますが,どのような対応策を考えられていますでしょうか,お聞きします。
また,福祉避難所へ直接行ったりした方もいたそうです。福祉避難所の開設について,災害が起こってからトラブルになる前に市民への啓発をしてはいかがでしょうか,お聞きします。
2点目に,熊本地震後に自治会や防災クラブにとったアンケート調査からの質問です。
今回の地震を経験して,地域で必要と感じる訓練や講習会は何ですかという問いに対して,避難訓練が最重要であるという私たちの予想に反し,1位は,地域住民の安否確認訓練であることがわかりました。この教訓を福井市でも生かすべきでありますが,本市においてはどれだけ安否確認訓練をしているのでしょうか。一部の地域ではしていると聞いていますが,お聞きいたします。
そして,今後従来の避難訓練にプラスして,安否確認訓練もするための施策が必要ではないでしょうか,お聞きします。
また,家族の状況によって避難する場所も変わり,安否の確認方法も違います。家族単位で話し合い,共通意識を持つことが大切になります。そのことを市民に周知させるための施策が必要ではないでしょうか,お聞きします。
公助として,災害時に行政からの支援体制で特に必要だと思うことという問いに対して,37.4%の方が指定避難所以外の避難者へのきめ細やかな対応(車中泊を含む)でした。今回の熊本地震の特徴としては,集会所に避難した方が多くいたこと,次々に起こる余震に恐れて車中泊をする方が多くいたことです。こういった方は,支援物資状況の情報が入ってこず,食料や飲料水,支援物資がもらえずとても苦労されたとのことでした。本市においては,指定避難所以外の避難者の把握はどのようにするのでしょうか,お伺いします。また,どのように対応するのでしょうか,お聞きします。
今後,新たに避難所として考えられる施設は何かという問いに対して,1位が集会所でした。集会所に避難した方は物資が配られなかったそうです。本市においても集会所は指定避難所にはなっておりませんが,避難してくる方は少なくないと思われます。高齢者や身体の不自由な方は,家から遠くの指定避難所まで歩いていけないという声もいただいています。果たして,指定避難所からどのように支援物資や情報の提供がもらえるのでしょうか。また,医師や看護師等の派遣はあるのでしょうか。地区の代表が指定避難所と行き来して情報のやりとりをするとは思いますが,仕組みにはなっていません。どのように対策されるといいとお考えでしょうか,お聞きします。
以上で読み上げの質問は終わりとさせていただきます。ありがとうございました。
(市長)
本市の文化振興についてお答えいたします。
文化芸術は,私たちに感動や心の安らぎをもたらし,生活に潤いを与え,人生を豊かにしてくれるものです。また,同時に子供のころから文化芸術に触れ合い楽しむことで,豊かな感性や創造性を育み,人間形成に大きな影響を及ぼします。さらに,文化芸術はまちの活力と魅力を高めます。
本市には,京にもまさる文化都市を築いた戦国大名朝倉氏の歴史や,古いしきたりにとらわれず新たな文化を取り入れた松平春嶽公の気風,重要無形民俗文化財糸崎の仏舞などの伝統文化といった全国に誇れる歴史や文化があります。先人が長い時間の中で築いてきた福井の文化を継承し,市民が主体となって新たな文化を創造しながら将来にわたって発展していくためには,その活動の舞台となる場が必要だと考えています。さらには,北陸新幹線福井開業などを見据え,県都である福井市の魅力を高めるために,文化芸術をまちづくりに生かし,発信していくことも必要だと考えています。
昨年は,本市に第九の合唱団が発足し,中学生から80歳代まで300人を超える市民が集まり,文化会館で練習に励み,12月23日には満員のホールで演奏会が開催されました。合唱は初めてという市民も含め,音楽関係者の皆様の御努力で17年ぶりに県都の第九合唱が復活しました。市民の発意で始まった文化芸術活動が多くの交流をつくり上げたことは大変すばらしいことだと思います。このような市民の生き生きとした文化芸術活動が継続され,市民が心豊かな生活を送ることができる環境をつくることが私の重要な使命の一つであると考えております。
文化会館の再整備に当たっては,今ほど申し上げた文化振興の考え方が実現できるよう,策定委員会の皆様の御意見をお聞きしながら検討してまいります。
(商工労働部長)
文化振興と文化会館の建てかえについて,残りの御質問にお答えします。
まず,あらゆる人が芸術文化を享受できる仕組みを推進するための方針についてお答えします。
文化芸術は,子供から大人まであらゆる人が享受できなくてはなりません。そのため,施設においてはユニバーサルデザインの考えに基づき整備する必要があります。また,子供たちが本物の文化芸術を楽しく体験できるよう,プロの芸術家を学校へ派遣するアウトリーチ事業なども継続して実施していく必要があると考えております。さらに,外国の方々が福井の伝統文化や地域固有の文化芸術などを身近に感じることができる仕組みづくりも必要だと考えております。加えて,社会的に孤立した高齢者や障害者などの方々が,文化芸術を通して社会参加のきっかけが得られるような社会的包摂の機能も取り入れるなど,より多くの方が文化芸術に親しめる環境づくりに努めてまいります。
次に,若手芸術家を育成し,ビジネスチャンスに結びつけるための方針についてお答えします。
芸術家の育成には,質の高い文化芸術に触れることが重要であると考えます。そのためには,子供のころから身近に文化芸術に親しむ環境があることが必要です。そのほかにも,練習の場所が充実していること,文化芸術に興味を持つ仲間と世代を超えてコミュニケーションがとれる場も重要であると考えます。また,ビジネスチャンスについてですが,まずは活動を知ってもらうことが重要であると考えますので,演劇などの成果を発表する場や作品を展示できる場,文化芸術活動に関する情報発信の場などの充実に努めてまいります。
次に,今後のスケジュールについてお答えいたします。
文化会館整備基本構想については,現在実施しているパブリックコメントを反映し,本年度中に策定します。また,来年度は基本計画を策定いたします。その中で,ホールやリハーサル室を初めとした必要な諸室の規模や配置,建てかえ場所の検討を行います。さらに,管理運営のあり方についても協議を行います。
整備スケジュールについては,北陸新幹線福井開業が予定されている平成34年までを目途に開館したいと考えておりますが,建てかえ場所や整備手法などと密接にかかわっているため,平成29年度中の基本計画策定やPFI導入の検討に合わせ精査いたします。
次に,ほかの施設との差別化についてお答えします。
文化会館は,奈落などの舞台装置を備え,音響にもすぐれており,舞台芸術に重点を置きつつ音楽も十分に楽しめるなど,フェニックス・プラザやサンドーム福井にない機能を有する施設でございます。また,席数については,まず興行利用の観点からは規模が大きいほうが望ましいというヒアリング結果が出ております。一方で,基本構想において多くの人々が質の高い文化芸術を享受することを文化会館の将来像の一つと考えており,余りにも大き過ぎる施設では一部の集客力のある利用者以外からは敬遠され,質の高い文化芸術を享受する機会につながらないおそれがあるため,基本計画策定の中でふさわしい席数について協議していきたいと考えています。
次に,建設場所についてお答えします。
基本構想では,整備方針として建てかえを選択しました。建設場所については,現地建てかえ・移転も含めて基本計画の中で検討してまいります。
現地建てかえの場合の福井駅との一体的計画を進めてはどうかとの御意見についてでございますが,委員会では公共交通機関によるアクセスを重視すべきであるとの御意見をいただいております。したがいまして,建てかえ場所が現地であっても,移転であっても,公共交通結節点である福井駅との関係性については,今後の委員会の中で慎重に議論していきたいと考えております。
次に,PFI事業に対する市の姿勢と,PFIをどのように進めるのか,可能性調査の方法についてお答えいたします。
本市は,公共施設等の整備において,民間の資金やノウハウを活用し,市民サービスの質の向上と効率的な行政運営を進めることが必要との考えから,昨年12月に福井市PPP/PFI導入基本方針を策定し,優先的にPPP/PFIの検討及び導入を図っております。文化会館につきましても,導入を検討する事業の要件を満たしていることから,導入についての検討を行います。今後のPFI導入に関する手続といたしましては,簡易検討の結果に基づき,PPP/PFIに適していると評価された場合,民間活力導入の可能性についてより詳細な検討である民間活力導入可能性調査を実施いたします。導入可能性調査の内容は,サービス水準の向上度,民間の参入意欲などを精査し,あわせてサービスの供給に対してどの程度財政負担を減らせるかの検証を行います。調査結果に基づきPFI導入の適否を判断してまいります。
次に,若い芸術家にも福井の文化振興や文化会館建てかえなどにかかわっていただくことについてお答えいたします。
本市の文化振興や文化会館建てかえについては,幅広い方々からの御意見,参画が必要であると考えます。そのため,文化会館基本構想策定の際は,委員会による協議だけでなく,一般市民の方々から広く意見を伺うため,福井市文化会館を考えるワークショップを3回実施いたしました。ワークショップには,文化団体に加盟されている方や劇団員の方など,文化芸術にかかわっている方にも多く参加いただいております。平成29年度もワークショップを実施する予定ですので,その中で芸術文化にかかわっている方にも御参加をいただき,御意見をいただきたいと考えております。
(市民生活部長) 防災についてお答えいたします。
まず,初動態勢についてです。
熊本地震において職員の参集率が低かった主な要因といたしましては,職員の被災や家族の安全確保を行ったことによるものと聞いております。本市では,福井市震災時業務継続計画を策定し,震災時において職員が被災または交通機関の寸断によりすぐには参集できない状況を想定し,例えば災害発生から3時間以内には20%の職員にて業務を実施することとしております。本計画は,行政機能への被災を想定したもので,職員以外にも庁舎,電力,執務環境などの資源に制約がある状況下において継続の必要性の高い通常業務と応急業務をあらかじめ選別し,目標着手時間を決めておくことで市民生活及び経済活動等に深刻な影響を与える業務から速やかに行う計画となっております。また,職員防災訓練の際には,避難所の開設に当たる職員を除き,職場参集する職員で各所属において作成する業務継続計画の業務内容を具体化した実施マニュアルに基づき,業務手順の確認検証を行っています。
次に,避難所運営についてですが,平成26年度から各地区の自主防災組織を中心に本市が示した避難所運営マニュアル作成要領に基づいて各地区の状況に応じたマニュアルを作成していただき,平成27年度末に全ての地区で作成が完了いたしました。現在は,毎年6月の福井市総合防災訓練において,本マニュアルに沿った避難所運営訓練に取り組んでいただき,市職員が避難所の開設,避難者の受け付けを行い,地区の方々には避難者名簿の作成や,避難所スペースの割り振りなど,それぞれ決められた役割を担っていただくという流れで訓練を行っています。
次に,福祉避難所へ避難する仕組みについてですが,本市では福祉避難所の開設に伴う施設等への連絡や,高齢者などの要配慮者の実態把握を行うための要配慮者支援班を福祉保健部内に設け,福祉避難所の開設が迅速に行えるよう職員防災訓練を実施しています。しかし,大規模災害時には福祉避難所での避難生活を支援する介護職員などの専門職が不足すると考えられることから,人材を確保するため,介護,福祉関係の団体や事業者と協定を締結するなど,災害発生時に人的支援を得られるよう連携を図ってまいります。
また,指定避難所以外に避難している要配慮者に対しましては,食料等必要な物資の配布,保健師等による巡回健康相談の実施や,情報の伝達等を行うこととしています。
次に,福祉避難所の啓発についてですが,現在ホームページ上で公開するとともに,出前講座や地区の説明会などの機会を通じて周知を図っております。また,新たに作成を予定しております防災ハンドブックにも掲載することとしています。
福祉避難所の開設につきましては,施設の被災や既に入所している方々の状況により受け入れの可否が違ってくること,また指定避難所において医師,保健師,看護師などによるスクリーニングが必要になることから,通常の指定避難所との違いについて今後も広報活動や訓練などを通じ広く市民に周知を図り,理解と協力を求めてまいります。
次に,安否確認訓練についてですが,毎年6月に実施しております福井市総合防災訓練では,指定された公園や空き地などの避難場所に集合し,住民の人数や安否などを確認する訓練を行っています。しかしながら,現状においては隣近所や要配慮者宅を訪ねて安否確認を行う訓練は一部の地区でしか行われていないため,今後は安否確認訓練の重要性を周知し,より多くの地区に取り組んでいただけるよう指導してまいります。
次に,家族で避難場所や安否確認方法の共通意識を持つことについてですが,災害はいつ発生するかわからないため,避難場所や集合場所,安否確認や連絡方法,非常用持ち出し品の中身や場所のチェックについて家族内で話し合うことは大変重要です。今後も防災ハンドブックでの周知や出前講座,各種研修会での説明により啓発に努めてまいります。
次に,指定避難所以外での避難者の把握と,支援物資や情報提供などの対策についてですが,市内居住班員,民生児童委員,自主防災組織などが協力しながら巡回し,所在,避難人数などを把握して,情報提供や食事の配布などを行うこととしています。また,指定避難所を含め医師や保健師,栄養士などが巡回し,衛生面の維持や健康相談を行い,被災者が健康な生活が送れるよう支援することとしています。
しかしながら,熊本地震では想定を上回る集会所への避難者や車中泊,テント泊の避難者がいらっしゃいました。そのため,本年3月に地域防災計画の見直しを行い,車中泊やテント泊避難者などへの対応策として,必要な食料や物資の配布,保健指導,情報伝達を実施すること,また近隣で大型の駐車場や空き地等を確保するなど,具体的な仕組みの構築を図ってまいります。
(中村綾菜)
それでは,自席にて再質問させていただきます。
今ほど指定避難所以外の避難者の把握について,マニュアルを充実させていくという御答弁だったと思いますが,その辺についてもう少し詳しく教えていただきたいと思います。要は,どのマニュアルを充実させるのか,あとは地区ごとのマニュアルを充実させるのか,その辺を教えてください。
(市民生活部長)
安否確認につきましては,地域ごとにさまざまな受け取り方がございまして,一時避難所となっております公園などに集合したときに,人数であるとか,あるいはどこそこの方が来ているか,来ていないかという把握をすることが安否確認ととられている地区もございます。けれども,その場にいらっしゃらない方を把握するためには,自治会なり,地区の方ならまた地域に戻ってどこに行っていらっしゃるのか,あるいは家の中で外へ出られないでいるのかといった,一軒一軒訪ねて回るという確認も必要になってくるのではないかと考えております。したがいまして,こういった安否確認の定義といいますか,どういうふうにやるのかということにつきまして,出前講座,それから研修会,そしてまた今後つくります防災ハンドブック,こういったものにも掲載しながら市全域にわたりまして周知を図ってまいりたいと存じます。
(中村綾菜)
その地域の自主防災組織の方々と避難訓練をする時期の前にお話をされたりとかするということは全地区であるのですか,お伺いします。
(市民生活部長)
全地区の方とその機会が持てるかどうかにつきましては今はまだ不明ではございます。福井市の総合防災訓練が6月にございまして,期間も限られているというところではございますが,なるべく多くの方に広く周知させていただきたいと思いますので,何らかの方法でもって周知を図りたいと思います。
(中村綾菜)
重要なことですので,まず私の地区も今年こそやっていきたいと思っておりますし,頑張っていきたいと思います。
あと,避難所運営について,職員が指定避難所に到着していなかったら,誰が指示したり,運営したりするのでしょうか。先ほど,災害が発生してから3時間以内は参集できる職員が20%と想定して訓練をしていると答弁されておりましたが,例えば,職員が来ていなかったら指定避難所の運営を誰がどのようにやっていくのかというところも教えてください。
(市民生活部長) 先ほどの3時間以内に20%といいますのは,市の庁舎に集まる人数,それから指定避難所への参集も含めまして全体的に20%と考えているところでございますけれども,避難所につきましては,やはりその避難所を開設する職員に,地域の職員が当たっている場合が多いというところもございますので,避難所への参集に関しましては,庁舎に集まる人数よりも多くの人数が確保できるかと思います。しかしながら,近いとは申しましても地域の中の職員だけで開設ができるものではございません。また,人数が足らなければ近隣の地域からも参集することになっておりますが,そういった部分につきましては人数が限られておりますので,公民館に携わる方,あるいは自治会連合会,自主防災組織の方の協力も得ながら開設に当たっていきたいと考えております。
(中村綾菜)
ぜひそうしていただきたいと思います。熊本市でも,地域の住民の方々が率先して指示して運営していた,学校の先生方,校長先生も一生懸命やったと聞いておりますので,ぜひとも職員がいなかった場合の避難訓練,運営訓練もやっていただきたいと思っております。
そして,文化振興と文化会館の建てかえについても再質問をさせていただきます。
先ほど文化会館の規模についてですが,規模が大きい方が収益性がある。しかし,一方多くの市民が文化の享受ができないのではないかと,市民から敬遠されるのではないかということをおっしゃっていたと思います。ですが,全国,全世界の有名な方々にこの福井の文化会館で演じたいと思わせるすばらしい文化会館がつくれれば,全国,全世界から有名な方々が福井に来て,市民の方々がより多くの文化の芸術,質の高い芸術に触れることができるということにもつながると思いますので,ぜひ議論を進めていただきたいと要望をさせていただきます。
そして,もう一つなんですが,市長が考える福井の文化とは何だったのかなと聞いてみたかったので,お伺いしてもよろしいでしょうか,お願いいたします。
(市長)
端的にこれだと言えるのがあれば,もう既にそういう動きをつくっているんでしょうけれども,非常に文化の場合には裾野が広く,また私も東西のいろいろな文化の結節点と言うことがありますが,ここの福井のあたりのところが東の文化と西の文化の交差点になっているということもあって,いろいろな文化が集まっているということです。そういう中で言うとそこが福井の文化らしさではあるんですが,では何だというとなかなか難しいところがあるというのが状況かと思います。
(中村綾菜)
なかなかこれだというものを見つけるのは私も難しいなと思っていたんですが,福井の市民の誇りとなる文化はこれだというものが確立されていけば,福井市民が住み続けたくなるそんなまちになると思いますし,ますます活性化する,ないしはU・Iターン政策とかでも取り組んでいる帰ってきたくなる福井というのにつながると思いますので,ぜひ文化会館の建て直しに関しまして議論を深めていただきたいと要望いたします。
2024年2月26日(月)
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